アメリカの株式市場への進出は、日本の企業にとって非常に大きな節目です。
特にナスダック(NASDAQ)への新規上場(IPO)は、世界中のテクノロジー企業をはじめとするスタートアップが目標とするマイルストーンであり、資金調達の機会拡大、グローバルな知名度の向上、そして優秀な人材の獲得にもつながります。
しかし、ほとんどの人はIPOに関与した経験がなく、インターネットなどで公開されている情報も非常に限定的ですので、経営者がIPOに関する包括的な情報にアクセスできないという問題があります。
今回は、IPOについて検討し始めた経営者を成功に導くための重要なプロセスと、日本の企業が検討すべきポイントについて概説します。
■IPOの概要
IPOとは、企業の株式を初めて一般に販売し、証券取引所に上場することを意味します。
企業が新たに株式を発行し、既存の株式を売却することによって、事業を構築するための資金を調達することが可能になります。
企業が経営戦略の選択肢の1つとしてIPOの必要性を評価し始める状況はさまざまですが、一般的には資金調達、成長、国際化、各業界の変化、投資家の意向などがきっかけになります。
上場を成功させることで、事業拡大の機会創出や投資家への出口機会の提供にもつながる他、顧客、サプライヤー、従業員に対する事業やブランドの認知度を向上させることもできます。
すべての事業が上場企業の環境に適しているわけではありませんが、多くの急成長中の企業にとって、IPOは成長を加速させるために必要な資金を調達することができる方法です。
■IPOのメリット・デメリット
上場後も業績を上げている企業は、IPOのメリットとデメリットを比較し、企業や株主の目的に照らして検討しています。
メリットは数多くある一方で、デメリットも多くあるため、IPOによるリスクや負担の増加も理解し、これらに対応したうえで準備を始めることが大切です。
(1)メリット
- 株式市場へのアクセスによる資金調達
- 消費者の注目度、ブランド認知度、評判の向上
- 上場株式がM&Aの対価として機能
- 既存株主の出口となる選択肢を提供
- 人材獲得の競争力向上
- 株式報酬によるインセンティブの提供
(2)デメリット
- 上場準備の時間とコスト
- より高い水準での情報開示要件
- 上場維持に関連する追加コスト
- 議決権を持つ新規投資家の出現
- 買収されるリスク
- 業績へのプレッシャー
- コーポレートガバナンスの義務
■IPOの成功要因
企業の株式を買うか買わないかは最終的に投資家の意思によって決定され、特に機関投資家の動きは株式市場への影響力が大きいため、IPOを検討する際には機関投資家の視点で見ることも必要です。
機関投資家が魅力的だと思うIPOの要因をいくつか挙げてみます。
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